株式会社コア

地元にこだわり、山口から世界へ。私たちは山口を元気にすることを使命と考える。

株式会社コア　代表取締役

濱田泰氏Yasushi Hamada

Profile

熊本県生まれ。山口大学を卒業後、大分でＣＭ制作などを手がけ26歳で帰郷。印刷会社に入社してタウン誌などを発行する。1984年に株式会社コアを設立。山口国体の開会式や山口きらら博、山口ゆめ花博など大型イベントの運営にも携わる。

山口県に不足した受け皿大型イベントを地元の手で

大学卒業後、京都でサラリーマンをし、その後、大分県の映像プロダクションでテレビＣＭを制作していた濱田泰さん。結婚を機に知人の紹介を受けて山口県内大手の大村印刷に就職します。
「入社初日からタウン誌を作ってほしいという話を受けました。11月４日に入社したのですが、12月には出したいと。最初は一人ではできないと返事しましたが、結局タブロイド判の４ページ立てならできそうだと思い、必死になって１カ月で作りました」
営業に取材に飛び回り、その後は毎月１回のペースでタウン誌を発行します。すると濱田さんの人柄を慕ってタウン誌以外の仕事も依頼されるようになりました。これがコアの原点となります。
「いろんなお店と打ち合わせすると、看板やパンフレットの話も出てきます。ビルの建て替えのときのプロデュースをしてほしいという話もありました。タウン誌は市場規模に限りがあり、それなら業務を広げようと広告会社を創りました」
営業をする中で「総合広告代理店が山口県にはない」ことを身をもって感じ取った濱田さん。印刷に特化せず、広告やプロモーション活動などを全般的に扱う代理店として、１９８４年、株式会社コアを設立します。
総合広告代理店といえば電通、博報堂などが全国的に有名ですが、山口県内には多様な業務を請負う会社がほとんどありませんでした。濱田さんは「広告代理店は街を元気にする。地域を活性化する役割を担える。コアはそういう存在でありたい」と強い決意で、山口県発の総合広告代理店としてスタートしたのです。

「本気」を魅せること今に続くフィロソフィー

この頃から取り組み始めたのは県の観光キャンペーンです。広告代理店と親和性の高い領域で幅広い業務であり、大手向きプロモーションで、県内に受け皿がありませんでした。それゆえにコアの挑戦が「ばかっとはまった」のです。国鉄（後のＪＲ）が山口県を目的地にした観光キャンペーンでは、濱田さんが陣頭指揮を執ります。
「全国配布するポスターやコマーシャルを作り、宣伝隊も結成して広島、岡山、京阪神、東京、それに九州まで駅で宣伝して回りました。４両編成の電車の１両を展示場にして、メンバーを連れて行く。ものすごく良い経験になりましたし、コアの華々しいスタートになりました」
それまでの山口県では大手に任せるという風向きが少しずつ変わり、２００１年の山口きらら博のパビリオン運営では県内に本社があることがプレゼン（企画競争入札）参加の条件に加わりました。加わりました。
結果、濱田さんたちは博覧会や大型キャンペーンに携わり、今年の山口県のビッグイベント「ゆめ花博」では開会式・閉会式を受注。さらに地酒・獺祭のプロモーションでも大きな役割を担っています。
「本気でやっていかないと足元を見られます。借りたもので作って、今期の業績が良ければいいという訳ではありません。こんなことをやる会社はなかったと思いますが、観光キャンペーンのときに観光連盟にスタッフを送り込みました。ネットもない時代に人を置いて情報のやりとりをさせました」
現在ではウェブ系システム開発にも取り組み、学会や会議運営を効率化するシステムでは世界的な賞を受賞するなど、将来の展開が楽しみです。

デジタル世代の人材輩出へ18年に専門スタジオを開設

現場にこだわり、地元から国内外への発信を貫いてきた濱田さん。今、山口県でウェブ系人材をいかに育てていくかという問題に再び「本気」で向き合っています。
「ネットを中心として大きな変化が来ています。10年後もテレビや新聞は残っているとは思いますが、さらに伸びるという期待は持ちにくい。これからは間違いなくウェブ分野です。ウェブマーケティングができたり、日本や世界をにらめる会社でないと仕事になりません」
新時代に求められる人材を輩出するため、18年５月に先端メディアの専門校と提携して「デジタルハリウッド・スタジオ・山口」を開設。率先して育成拠点を開きました。
「県内にはデジタル系の人材が不足しています。多くの人材が育てば山口はもっと頑張れる。種をまけばスペシャリストという華は咲きます」
地域を元気にする役目を担い、枠にとらわれることなく歩む株式会社コア。濱田さんの本気が未来を開いていきます。